カジノ法制定記念≪日本パチンコ伝≫









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日本にカジノができたら、パチンコはどうなるのか?その1
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〈日本機械学会論文発表〉

日本機械学会第1回論文発表 
日本機械学会第2回論文発表
日本機械学会第3回論文発表
日本機械学会第4回論文発表


〈図版〉

◆ 「日遊協」2011年10月号掲載、論文発表記事
「遊技通信」2011年11月号掲載、論文発表記事

 
〈著書〉

『パチンコ誕生 シネマの世紀の大衆娯楽』
『戦前からあった台湾のパチンコ』


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 <日本にカジノができたら、パチンコはどうなるのか? その10>







◎パチンコ税案浮上


  秋の臨時国会が、9月29日から始まる。カジノ推進法案決定は目前である。カジノ法が制定されると、パチンコの特殊景品による換金は違法となる。現在、パチンコの換金は三店方式(「日本にカジノができたら、パチンコはどうなるのか?その6」参照)により行われている。だが、これは刑法に基づいた「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」の賭博禁止の網の目をくぐったもので、合法ではない。だが、国家公安委員会は三店方式を容認している。パチンコの換金がグレーゾーンといわれるゆえんである。
 
 8月20日の毎日新聞には、「自民に『パチンコ税』案」という見出しで、パチンコやパチスロの換金時に課税するという記事が載っている。





 自民の出した「パチンコ税案」は、「法人実効税率引き下げに伴う税収減を補うため、20兆円産業とも言われるパチンコ業界に目をつけた」ところから出た発想で、新聞には「パチンコでの換金は刑法が禁じる賭博とすれすれのグレーゾーンにある。新税導入は換金の合法化が前提になるため、今後論議を呼びそうだ」とある。
 パチンコの賭博性を法的に認め、換金を合法化するため自民党議連は「パチンコ業法」などの新法制定か、風営法改正かの2本立てで検討しているという。
 新聞には、「政府・与党が秋の臨時国会でカジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備推進法案を成立させようとしていることもパチンコ税の追い風になるとみて、議連は9月中に論点を整理する方針だ」とある。

 カジノ法が制定されれば、パチンコの換金はできなくなるはずなのに、これはどういうことなのか。自民党議連はカジノ法制定前からすでに、ブラックゾーンになるパチンコ換金を何とか続けさせ、税金をとるために「パチンコ税案」を浮上させたのである。

 新聞の記事の終わりには、「ただ、警察庁は民間賭博の容認につながるとして換金の合法化に消極的。『社会問題でもあるパチンコ依存を助長しかねない』という批判は根強い。新たな課税そのものへの反発も予想される。自民党税制調査会は当面、静観する構えで、実現への道筋は見えていない」とある。
 警察が換金に伴う犯罪を防止しているからこそ、パチンコの換金がグレーゾーンといわれながらも今まで続いてきた。換金を認めたなら、民間賭博の容認につながるのは必定で、警察庁のコメントは正論である。
 だが、一方では警察が特殊景品による換金を容認しているので、パチンコ依存症という社会問題が起こっているのである。



◎パチンコ依存症


 8月21日、厚生労働省がギャンブル依存症の推計人数を発表した。この記事は各紙で取り上げられた。同日の朝日新聞と産経新聞の記事を載せる。




 朝日新聞では、「ギャンブル依存疑い536万人」という見出しで、私の住む横須賀市にある国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長の「パチンコやスロットなどが身近で、日本は世界の中で病的賭博の割合が最も高い国の一つ」というコメントを載せている。




 産経新聞では、見出しに「パチンコ」という文字が踊っている。
 外国の同じ調査では、賭博依存症が成人全体でスイスが0.5%、米ルイジアナ州で1.58%、香港で1.8%である。日本の4.8%は飛び抜けて高い。
 同日の日本経済新聞には、日本の割合が高いのは「パチンコやパチスロが身近な場所に普及していることが影響しているのではないか」という医療センターの研究班のコメントを載せている。



◎パチンコ税案に断固反対する!


 もしも自民の「パチンコ税案」が成立したら、依存症ではない普通のパチンコ客が減り、依存症患者が増えるだけである。戦前、パチンコ機やスマートボール機を製造していた故人のS氏が私に語ったことを思い出す。「パチンコ必勝法は存在しない。私は競輪や競馬はやるが、パチンコはやらない。パチンコ機は客が儲かるようには作られていない」。私のもつ歴代のパチンコ機百台は、全て、営業者側が儲かるように作られているものである。手打ち式パチンコは、時間つぶしとたまに儲かる景品が楽しみでやっていた。損をしても、遊んだ分だけ楽しい気分になるストレス解消のはけ口で、実にのんびりしていた。
 それが時代とともに、客とホールの欲望が増大し、過激になっていった。そしてギャンブル依存症患者の最も多い国となった。
 私は、悲惨なパチンコ依存症患者の救済のためにも、「パチンコ税案」に断固反対するものである。医療センターの研究班のコメントは、実に的を射ている。最寄りの駅前に、マンションの隣に、大手スーパーの中に、パチンコ店があるということが日常という現実が、多くのギャンブル依存症を生み出したのである。
 日本でパチンコは、昭和初期から綿々と続いているギャンブルである。これを営業していたのは、香具師(やし)であった。露天パチンコを営業していた場所は、祭礼時の神社仏閣の境内や、その周辺である。パチンコは初め、台から玉ではなく、現金やトークン(代用貨幣)が払い出されていた。だが、賭博そのものなので、一部の地域を除き禁止された。パチンコ台から玉が出たのは、1937(昭和12)年のことで、なぜ玉が出たかといえば、コリントゲームやスマートボールの、玉による景品交換が許されていたからであった。パチンコの元がコリントゲームという説は、ここから来ている。戦前のパチンコ営業者は、コリントゲーム(スマートボール)の営業者でもあった。
 日本では、パチンコ営業以前に、コリントゲームやスマートボールの前身、玉ころがし(バガテール)が1879(明治12)年頃から盛んに行われていた。これについては「日本パチンコ伝」の第1章第1項をご覧いただきたい。現在パチンコは、1948(昭和23)年の風営法に基づき営業されているが、この取締は戦後いきなり登場したものではなく、明治からの警察の取締を引き継いだものである。
 カジノ推進法案が成立すれば、日本の賭博禁止の時代が終わる。本来パチンコは、景品交換により営業されていた。カジノ法により、換金ができなくなれば、これが本来のパチンコの姿である。だが、換金ができなくなったら、全国のパチンコホールが激減するのは必定である。
 ならばぜひ、パチンコをカジノに入れてほしい。そして、日本初のカジノは非日常の世界であってほしい。非日常ならば、常習的なパチンコマニアも減ることであろう。パチンコ依存症患者救済の手立てが講じてあれば、なお結構。
 カジノ議連は、海外のカジノを視察するだけでなく、日本独自のギャンブル文化の歴史を、もっと研究すべきである。日本のカジノであるわけだから、日本独自の特徴が前面に出たものであってほしい。
 




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