カジノ法制定記念≪日本パチンコ伝≫









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〈著書〉

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 <日本にカジノができたら、パチンコはどうなるのか? その35 >



 

◎カジノ法案審議入り、ギャンブル依存対策法案可決
   

 2018年5月22日、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)の実施法案が審議入りした。下図は、その模様を伝える5月23日の読売新聞である。



 「カジノ法案審議入り 『地域振興』首相強調」の見出しで、IR実施法案を巡る安倍首相の主な答弁が載っている。だが、与党はまず、日本維新の会と共同提出した「ギャンブル依存症対策の基本法案」を審議する方針とある。
 野党はIR実施法案が成立すれば、ギャンブル依存症が深刻化すると反発している。

 同23日の同新聞の4面には、「ギャンブル依存症対策」「与党きょう採決の構え」とある。





 同年5月25日の朝日新聞(上図)には、「ギャンブル依存症対策基本法案が25日、衆院内閣委員会で自民、公明、国民民主、日本維新の会の賛成多数で可決した」と、この法案が可決したことを伝えている。
 さらに、IR実施法案の審議に入り、「6月上旬までに衆院を通過させ、20日までの会期内の成立をめざす」とある。

 翌5月26日の毎日新聞夕刊には、ギャンブル依存症対策法案の衆院可決が、依存症の「抑止力にならない」の見出しで、カジノ解禁への懸念の記事が載っている。



 ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表は、「基本法を作ったからカジノを作っても大丈夫、というわけではない」「ギャンブル依存は仲間と回復していくものだが、自助グループは170ヵ所程度にとどまり、1000ヵ所以上あるアルコール依存と比べ圧倒的に少ない」と語り、法案だけ作っても、行政が取り組まなければ患者を救うことはできないが、行政が窓口だけ設けても、根本的な解決にはならず、これから先の取り組みが重要であるとしている。
 ここまでは、本国会における、ギャンブル対策法案可決についてである。
 これから先は、ここに至るまでの、5月半ばの成り行きを伝える。

 IRの誘致を一番熱心に行っているのが、大阪府市である。カジノを運営するのは、民間のカジノ運営会社である。
 2018年5月14日の日本経済新聞には、「カジノに地域浮揚賭ける」という見出しで、大阪市北区で、4月に行われた「関西IRショーケース」というイベントを紹介している。
 


 上図左上の写真が、カジノ運営大手が参加した催しである。新聞には、「大阪市内で世界の大手IR事業者6社の首脳が顔をそろえ国内初のIR展示会が開かれた。米ラスベガス・サンズのジョージ・タナシェビッチ開発主任者は『大阪ほど熱心な自治体はない。早い時期に(国の認定を)勝ち取れるだろう』と話した」とある。
 同新聞には、IR実施法案成立後の手順と現在の動きについて、「IRの開業はまず都道府県や政令市が事業者を選び、国に区域認定を申請する手順。府市によると、2012年以降に10事業者のトップが延べ25回、知事や市長を訪れた」とある。
 事業者の一つの「米MGMリゾーツ・インターナショナル日本法人のエド・バワーズ最高経営責任者(CEO)は『最低でも3万平方bはほしい』と明かす」とある。この規模で行うIRの投資額は、1兆円規模と見込む事業者が多いという。
 事業者と区域が合意に達しなければ、国に認定の申請はできない。
 さらに新聞には、大阪「府市は25年に招致を目指す国際博覧会(万博)に先立ち、23〜24年度のIR開業を目標とする。府市はIRの工期を3年と見込むが、事業者の公募に向けた方針策定や選定手続き、区域整備計画の作成といった手続きを考えると、今国会で法案が成立しても、万博前の開業にはぎりぎりだ」とある。
 政府は6月に法案成立を目指しているが、成立しても2020年の東京オリンピックには間に合わないようである。

 下図は同日の毎日新聞の記事である。


 新聞には、「政府、ポーカー解禁へ カジノ法案 集客目指す」という見出しで、「法案で、ポーカーを解禁する方針を固めた。ゲームの公正さを確保するため、当初は偶然の要素が大きいルーレットなどに限って解禁する考えだったが、客同士が競い合うポーカーも、カジノ側で雇用する進行役の『ディーラー』が公正性を管理できると判断」とある。
 カジノ事業者を入れ、多額の金を投資して開業するカジノに、当たり前のようにあるポーカーを今の時点で検討しているという感覚に驚かされる。ポーカーのないカジノがあるのであろうか。
 私はカジノ解禁になったら、どんなギャンブルマシンがふさわしいかというテーマでこのホームページを立ち上げている。新聞にはこの段階で、「賭けマージャンや賭け将棋などは除外される見通し」とあるが、これらは日本で普及しているゲームで、世界のカジノにはないからであろうか。今、世界的に一番受けているカジノのゲームを詳しく調査しているのであろうか。日本で行われている賭けマージャンや賭け将棋を、ポーカーと同列に論じている感覚が理解できない。
 ひょっとしたら、日本のカジノには、スロットマシン他のギャンブルマシンを置かないつもりなのであろうか。公正さを一番に考えるならば、人間が介在しないギャンブルマシンが一番ふさわしいということになるのであるが……。
 新聞には、「法案成立後に新設する行政機関『カジノ管理委員会』で、解禁するゲームの種類を最終決定する」とある。これでは、日本のカジノのイメージが全く湧かない。法案が通ってから、ゲームの種類を決めるのも、おかしな話である。

 だが、とにもかくにも、カジノ法案を成立させなければならないと、とりあえずギャンブル依存症対策法案が決まったのであった。

 5月16日の毎日新聞「オピニオン」には、「統合型リゾート実施法案 賭博が成長戦略? 依存症の懸念残る」の見出しで、同新聞の論説委員、伊藤正志氏の記事が載っている。



 伊藤氏はまず、「カジノ設置を目指す統合型リゾート(IR)実施法案への疑問が尽きない。ギャンブル依存症への懸念はもちろん大きいが、そもそも、なぜ賭博が日本の経済を押し上げる成長戦略の目玉になり得るのか。法案では地域振興もうたわれるが、地方の活性化につながるのか、見通しは不透明だと言わざるを得ない」と述べている。
 厚生労働省の調査では、生涯で依存症が疑われる状態になった人は3.6%で、「依存してしまうギャンブルは、パチンコ・パチスロが突出している。パチンコ店は全国に1万店以上ある」とある。パチンコ・パチスロは遊技とされているが、身近なところにあり、手軽にできるので、依存症になってしまうのである。いっそのことカジノに入れれば、依存症対策になる。
 同新聞には、「カジノは民間資本が参入し、実施法案によると、国と自治体に納付するのは収益の30%だ。賭博で負けた人の金の70%は、そのまま事業者の利益となる仕組みだ。これは賭博のビジネス化以外の何物でもない」とある。外国の事業者を招き入れてカジノをつくるという計画であるが、ギャンブルは一番儲かるのが胴元である。外国の事業者が胴元になれば、日本に落ちる金よりも、外国に流れる金の方が多くなる。
 伊藤氏はさらに、「米国では、ラスベガスと並んでカジノによる繁栄の象徴とされたアトランティックシティーでカジノの閉鎖が相次ぎ、産業として陰りを見せている。ギャンブル依存対策などの社会的なコストの増加も問題視されているという」「また、韓国内で唯一、国内客が入場可能な江原ランドは売り上げを伸ばしているが、質屋やヤミ金業者の氾濫、借金による犯罪や自殺者の増加で町が荒廃し、地元の人口は減少している」と述べている。

 6月半ばに、法案可決の見通しだが、果してどうなるのか。
 
 
 


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