カジノ法制定記念≪日本パチンコ伝≫









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〈著書〉

『パチンコ誕生 シネマの世紀の大衆娯楽』
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 <日本にカジノができたら、パチンコはどうなるのか? その36 >



 

◎カジノ法案 採決強行
   

 2018年6月15日、衆院内閣委でカジノ法案が採決強行された。1面トップにその記事を採り上げたのは、毎日新聞と朝日新聞である。
 下図は、6月16日の毎日新聞と朝日新聞である。




 
 両新聞とも、もみ合いの中の採決強行の写真を載せている。
 朝日新聞は、「世論の支持得ないまま」という見出しで、「世論の支持を得ていないうえ、審議で問題点が次々に明らかになっている」「朝日新聞が4月に実施した世論調査では、今国会で成立させることについて『その必要はない』という回答が71%で、自民党支持層に限っても57%に上った。報道各社の直近の調査でも慎重派が推進派を上回る。全国紙5紙の社説では、そろってカジノの必要性や依存症対策の実効性に疑問を投げかけている」とある。
 世論の反対が多いのにも関わらず、与党は成立を急ぎ、今国会をさらに延長し、今国会での成立を図っている。
 朝日新聞は、「成立を急ぐのは、来春の統一地方選への悪影響を避けたい公明党の意向が働いた。世論に背を向け、国会での議論を軽んずる安倍政権の姿勢が改めて浮き彫りになった」と記している。
 毎日新聞は、さらに2面で、カジノの山積みの論点や疑問点、法施行後に政令などで定める項目も331にのぼるが、それらが示されていないということを述べている。
 下図は6月16日の毎日新聞のその記事である。



 毎日も朝日も、世論の支持がなく、且つ審議時間の短さを挙げ、これでよいのかと読者に問いかけている。法施行後に政令などで定める331もの項目を具体的に知りたいところであるが、審議時間が短すぎてわからないままである。
 さらに同日の朝日新聞は、下図の「ギャンブル 壊れた家族」という見出し記事を載せている。

 
 この記事は、父親がパチンコ依存症になり、家族が崩壊した経験をもつ、小澤雅人監督がこの体験を映画化した「微熱」(2015年公開)を語りながら、パチンコ依存症の父についても語るという内容である。
 小澤氏は「僕も母もずっと父を責めてきた。でも、父にも逃げ場がパチンコしかなかったのかなって。もっと家族でコミュニケーションが取れていれば、父もパチンコに行かなかったと思う。依存症の共通点は、人間関係の貧困や孤立だと思うんです。居場所のない人がそこへ逃げてしまう」と語り、IR法案については、「賛成か反対かと言われれば反対です。ギャンブルは負けた人のお金で潤うもの。お金が回って地域が活性化すると言われているけど、その中で人生をだめにする人もいる」と語っている。
 さらにこのコラムは、公務員や民間企業の退職者でつくる日本退職者連合の菅井義夫事務局長(75)の意見も載せている。菅井事務局長は、IRの誘致自治体が客の7〜8割は日本人と試算していることから、外国人客による経済効果に疑問を投げかけ、「IR事業者は日本人、とりわけ高齢者の金融資産を目当てにしているのではないか」「15日の衆院内閣委員会をネット中継で見たが、野党議員が委員長席を取り囲んで騒然とする様子に、法案では分からないことがたくさんあるのに、なぜこんなに急ぐのか」と疑問を投げかけている。
 国民が納得しないまま、この法案が成立しようとしている。そもそも、カジノ法案は、現在の日本の法律ではカジノが賭博罪にあたるので、日本でカジノを開くには合法化が必要で、そのために良い法律を作ろうと審議しているのである。安倍総理が「東京オリンピックまで…」と言い出したので、時間をかけず、成立を急ぐ結果となった。
 パチンコは三店方式という名の下に換金がなされ身近なギャンブルとなっている。国民のほとんどがパチンコをギャンブルと思っているが、法律ではギャンブルでないのである。三店方式の矛盾を解決しないまま、ギャンブル依存症の多くをパチンコが背負っているのである。カジノで儲けた金で、パチンコ依存症を何とかしようとしているが、金で解決する問題ではない。ギャンブル依存症こそ、法の力で何とかしなければならない。

 パチンコ依存症問題をたびたび採り上げている毎日新聞は、同日の26面で、「パチンコ店戦々恐々」「健康増進法改正案 成立見込み」「『禁煙なら行かない』との声も」という見出し記事を載せている。


 
 これはたばこの受動喫煙被害を防ぐ法案「健康増進法改正案」が今国会で成立する見込みという記事である。これまで、努力義務にとどまっていた公共の場での禁煙を初めて罰則付きにするという。原則禁煙はマージャン店、パチンコ店、ホテルのロビーということである。今は街中での喫煙場所が決まっているが、この法案で一番被害を被るのはパチンコ店であろう。パチンコは騒音の中、たばこをガンガン吸って、健康など気にせず、やけくそになってやるところに醍醐味があるからである。法的には、たばことパチンコ両方の依存症患者の対策として、非常によい法律である。

 下図は同日の読売新聞であるが、毎日、朝日に比べると、「野党の抵抗戦術 手詰まり」という見出しで、衆院委の可決よりも、公明党と野党の確執に重点を置いた記事となっている。読売新聞は閣僚不信任決議案と委員長解任決議案を取り上げ、中でも公明党の、IR担当の石井国土交通相の不信任案に反発する公明党について記している。だがこれについては、読売新聞よりもその下に載せた産経新聞の方がより詳しく取り上げている。




 
 産経新聞の2面は「IR法案 衆院委可決」「19日に衆院通過へ」の見出しである。同紙の5面には「IR法案 石井国交相の不信任否決」「野党攻撃に公明激怒」とあり、「党の支持母体の創価学会はカジノ解禁への抵抗感が強く、山口氏はIR実施法の制定を求めた28年のIR推進法案の参院採決で反対票を投じている。IR実施法案に賛成するのは、成立を強く目指している自民党への配慮であり、今国会での成立を求めるのは、来年の統一地方選や参院選への公明党への影響を最小限に抑えるためだった」とある。さらに、「一方、野党は公明党をここぞとばかりに攻撃した。衆院本会議では、立憲民主党の森山浩行副幹事長が不信任案の提案理由説明で、山口、井上両氏と太田昭宏前代表が公明新聞で『政権のアクセル役とブレーキ役を果たしたい』などと発言したことを取り上げ、『政権のブレーキ役ではなく、アクセルやハンドルに変質してきた』と3氏をこきおろした」とある。
 これが見出しの「公明激怒」であった。

 日経新聞は、いたって簡単に「カジノ法案、衆院委で可決」「19日衆院通過の構え」の見出しで、下図のように載せている。日経は、「今国会で成立した場合、初のIR開業は2020年代半ばと見込まれている」と記している。


 同紙面で日経は、カジノの日本進出を狙う香港のカジノ運営大手会社のメルコリゾーツ&エンターテインメントのホー会長が、ギャンブル依存症について、「内部開発した生体認証ゲート『メルガード』を活用すると表明。顔などの正確な生体認証を通じ、世界でもっとも厳格な入退場制限が実現できるとみている」と語ったことを報じている。「生体認証」は、むしろ国際空港などで使えば、テロ対策に役立つのではないか。ホー会長は、「日本(の市場特性)はシンガポールに似ている」と、宿泊や飲食や会議場などの収入の割合を高めるべきだとも語っている。
 日経は日本でのカジノを応援しているようにもとれるが、日本でのカジノオープンが2020年代半ばということは、2020年過ぎの24、25年と受け取れる。とすると、日経新聞はカジノを支持しつつも、成り行きはわからないという立場をとっているように思える。

 神奈川新聞は、他紙とは違い、IR整備法案を巡る一覧表を載せている。

 神奈川新聞は、IRは1999年に東京都の石原慎太郎元都知事が東京台場でカジノを設置する構想を表明したことを、IR整備法案の始まりとしている。
 この時からすでに19年経過している。石原都知事は初め、どのようなギャンブルが東京にはふさわしいかを調査したようで、当時の新聞にそのコメントを載せていた。このあと石原都知事は、パチンコが電気を使いすぎるのでパチンコ店の規模や営業時間をを縮小すべきだと語っていた。
 カジノ法案の成立を目前にして、いまだにカジノのゲーム内容が一部しか発表されていない。さらにはここに置くギャンブルマシンをどのようなものにするのかも不明である。一般のカジノファンが頭に浮かべるマシンは、入口にずらっと並んでいるスロットマシンである。パチンコ機メーカーがカジノに参入できるかどうかも不明である。
 神奈川新聞は、「政府は地域経済活性化や観光振興への効果を見込むが、ギャンブル依存症の拡大や治安悪化を懸念する世論は根強い」と記している。
 今のところ、マスコミの反応は、これに尽きるのではあるまいか。

 こんなマスコミ報道の中、今国会でカジノ法案が成立したとすると、具体的なことを国民は知らず、カジノの建設が始まってしまう。建設が始まれば、後戻りすることはできない。
 カジノができた頃には、法案を通した議員は、一線から退いていることであろう。
 こんなことで、次世代を担う若者から支持されるカジノが造れるのであろうか。 

 
 


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